『マグデブルクの新実験』

 この本は「大道仮説実験〈しゅぽしゅぽ〉を見た,すべての人に買ってもらいたい」という本ではありません。
でも,大道仮説実験〈しゅぽしゅぽ〉の先生役をするほどの人なら,必ず持っていてほしい本です。

 大道仮説実験〈しゅぽしゅぽ〉は,ただの思いつきの実験ショーではありません。それは350年前からつづく〈たのしい科学の伝統〉をうけつぐものです。大道仮説実験〈しゅぽしゅぽ〉の先生役をするほどの人には,そういうことをわかってもらたいと思って,この本を作りました。


●充実した挿し絵

 まずは,手にとってパラパラとページをめくってみてください。大きな挿し絵がいくつも入っています。解説にもたくさんの挿し絵があります。

 翻訳したのは全体の3割ですが,元の本に入っていた挿し絵はほとんど全部載せてあります。それどころか,元の本には載っていなくても,ゲーリケを理解するのに欠かせない,別の本にある挿絵も,ほぼすべて入っています。

 新しく描き下ろした挿し絵も入れました。それはあまりにも精密に描かれているので,「元の本に載っていたのではないか」と間違えるくらいです。

 翻訳の原稿が完成してから1年間,わたしは毎週,上園志織さんと研究会を開いて,どんな絵を描いたらいいか議論を重ねてきました。文章を読んだだけでは,わからない実験の様子は,すべてイラストに起こしてあります。こんなことは,じゅうぶんな時間がなければとうていできないことです。

●最新の研究を踏まえた解説

 本文を読む前に,まずは「解説」を読んでください。ゲーリケに関心があるほどの人なら,ゲーリケの真空研究の意義や,研究の過程がよくわかるように解説されています。

 日本ではゲーリケについてのくわしい伝記も,研究書も,まだ1冊も出ていません。〈大きな半球をたくさんの馬で引っ張っている絵〉だけが有名で,どうしてそういうことをやったのか,よくわからないままでした。この本はまちがいなく,ゲーリケについての日本で最高の研究書です。

 解説では,ドイツ本国の研究を踏まえて,「ゲーリケが考えた宇宙と真空」についても,くわしく書き込んでおきました。この解説を読んではじめて,紙芝居「実験・実験・また実験 ゲーリケ市長の真空ポンプ物語」の内容が腑に落ちます。


●評判のいい「あとがき」

 「あとがき」には,わたし自身の「研究物語」を書かせてもらいました。わたし自身のこれまでの,迷いや悩みについても,赤裸々に書きました。

 立ち読みするなら,「あとがき」をオススメします(^_^;

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書名:オットー・フォン・ゲーリケ著『真空空間に関する(いわゆる)マグデブルクの新実験』
訳・解説:松野 修
挿し絵:上園志織
販売価格 2,200円(税200円)
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